本稿は社会的コミュニケーションを媒介するメディアとしてテレビを捉え,テレビニュース番組を報道系,情報系に区分したうえ,番組の放送内容の量的傾向と形式的特徴を分析し,テレビニュース番組の言論空間の課題について考察した。報道系と情報系で扱う話題傾向に違いがみられ,それはさらに放送局間に差があった。報道系は情報系に比べ時間枠が小さく,伝えるべきと思われる情報を必要に応じて専門家の意見を組み込みながら,分かりやすくコンパクトにまとめる傾向がある。これに対し,情報系は一つの話題に時間をかけ,専門家や関係者に加え,常設のコメンテーターを交えて話題が展開されていく。報道系は「専門家集団」によって作り上げられた言論空間であり,情報系はそれに「巷っぽい」言論空間も加わるものとなっている。番組への参加意欲がある者が一定数いるなか,テレビニュース番組はそれに対して十分に応えていないことが示唆される。
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