地球温暖化,資源・エネルギー危機,人口問題などのグローバルな環境問題,また廃棄物リサイクル管理など環境リスク管理と汚染防御に関する正確な知識に加え,「環境政策」,「環境技術」,「環境経営戦略」等の高度な環境マネジメント技術を習得し,これらの知識と実践を,企業の技術開発の将来展開,経営戦略,および地域振興としての自治体の環境政策に活かせる環境マネジメント人材が我が国に決定的に不足している。地球環境問題が国際化,深刻化,複雑化していく中で企業や行政機関では,近い将来により一層必要とされることは確実である。
東北大学大学院環境科学研究科では,教育改革の一環として,環境制約の中で戦略的政策及び実践的なビジネスシステムを創出でき,国際問題化した地球環境問題を鳥瞰的視座と深い環境科学の専門性をもって解決に導く国際的な「高度社会人環境人材」を育成するプログラムを開発し,文理融合的かつ相乗教育効果を活かし,短期的及び長期的に人材が活躍することを戦略的に構想した統合環境人材教育システムの機能充実を進めてきた。
本研究では,環境科学研究科において,高度社会人環境人材という「環境課題を解決する企業・行政のビジネスシステムを創出できる人材」を養成するための教育システムを構築し,それによる5年間東北大学大学院環境科学研究科で教育を実践した結果,教育システムの課題が明らかとなった。これにより,大学教育を越える日本社会における教育インフラの必要性,1組織のみによる教育の限界,カリキュラム内容の更新の必要性,新たな科目の必要性が示唆された。
抄録全体を表示