銅系保存剤で処理され13年以上接地暴露されたスギ辺材杭の地際部から,6菌株の担子菌が分離された。これらを培養瓶内で生育させ,そこに硫酸銅を含有させたスギ辺材試験体を入れて12週間培養したところ,4菌株では銅の損失は8~18%であったが,Asuka N 株では24%,Asuka J 株では51%の銅が試験体から失われた。また,両菌株で培養された試験体の表面には,濃い緑色の物質が形成されていた。これらの結果から,この2菌株は,試験体中の銅の一部を外部に移動させたと考えられた。このような銅運搬能力のある担子菌の活動は,銅系保存剤で処理された杭の耐用年数に影響を及ぼしている可能性がある。
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