本研究は、お茶の水女子大学附属中学校における「創造的思考力」の育成に関する実践研究の2年目の成果をまとめたものである。現代社会の不確実性の高まりを背景に、従来の知識伝達型教育から脱却し、試行錯誤と創意工夫を促進する学びの環境を構築することが求められている。本研究では、創造的思考力を「独創的かつ効果的な解決策を生み出し、知識の進展や影響力のある想像力の表現につながる能力」と定義し、その育成のための具体的な方法を探求した。
研究では、創造的活動を「創作表現」「知識の創造」「問題解決」の3つの領域に分類し、それぞれの領域での実践を通じて創造的思考を引き出す方法を検討した。また、創造的思考の4Cモデル(Big-C, Pro-C, little-c, mini-c)を基に、特に日常的な創造性(mini-c, little-c)の育成に重点を置いた教育実践を展開した。
さらに、創造的思考のプロセスを「思いや問題に気づく」「アイデアを生み出す」「アイデアを実行する」「アイデアを振り返る」の4つのステップに整理し、各段階での具体的な指導法を提案した。特に、教科の枠を超えたカリキュラム設計、生徒主体の学級活動、学校行事を活用した創造的な学びの場の構築を試みた。
本研究の成果として、創造的思考力の育成には、①創造的思考の習慣の形成、②教科学習と学校生活を横断する教育活動の設計、③生徒の意見やニーズを反映した学びの場の提供が重要であることが示唆された。次年度は、これまでの実践と成果を統合し、創造的思考を育む学校カリキュラムとして完成させることを目指す。
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