サイバーリスクは,現代において深刻化しつつある問題である。サイバーリスクは,世界中で様々な問題を発生させているだけでなく,そのリスクも日々変化し増加しつつある。しかし,損保実務上サイバーリスクに対するカバーのあり方は不透明であることに加え,今後大きな問題となることが予想されるにもかかわらず,国内外を問わず,保険法学にける研究が十分には行われていない。本稿は,保険法学分野で共通認識が形成されていないと考えられるサイバーリスクに関する研究の全体像を描くことで,今後のサイバーリスク研究を発展させるための土台を構築することを目標とする。そのための手法として,主として米国の研究を参照し,サイバーリスクの特徴を分析したうえで,保険法学分野でのサイバーリスク研究の現状を示し,今後予想される重要論点の分析を行う。
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