本来の意味のウォーターフロントの再開発には,住民運動が不可欠とされている。欧米の例では,まず「住民運動ありき」が成功へのパターンのようである。それにくらべると日本の住民運動は,か細く,弱々しく,ひと握りの人だけで,パワー不足である。
そのか細い住民運動に,永らくたずさわってきた筆者は,住民運動の中でもユニークな存在で,ともすれば理想論が優先しがちの運動体の中で,ジャナリストとしての経験をふまえての,現実的な運動を続けてきた。釣り人でもある筆者は,ウォーターフロントの問題を,ほとんどの人が"陸の論理"から考えているのに対し,海側からの視点にたつ。
その運動の具体例から,永らく続いている自民党一党だけの政権のなかでも,日本が変ってきつつあるという,軌跡を検証してみたい。「水資源・環境研究」というアカデミックなレポートには,いささかそぐわない異色かも知れないが……。
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