キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(CAR-T)療法後1ヶ月以内の短期的なCAR-Tの体内動態と治療成績の関係は解明されていない。今回,tisagenlecleucel療法を行った再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者13例において,CAR-T輸注後1ヶ月までのCAR-Tの体内動態をフローサイトメトリー法と定量PCR法を用いて定量的に測定し,治療成績との関係について解析した。CAR-T全体の解析では,短期的なCAR-Tの体内動態と治療成績について明らかな関連を認めなかった。しかし,CD4/CD8サブセットに着目すると,CD4+ CAR-Tが治療反応良好例で増加することが認められた。一方,CD8+ CAR-Tは治療反応不良例で増加していた。また,サイトカイン放出症候群を生じた症例では,CAR-Tの増殖が顕著であった。したがって,CAR-Tの治療反応性を予測するためには,輸注後早期のCD4+ CAR-Tの増殖が重要であることが示唆された。
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