日本の中央政府がエビデンスに基づく政策形成(Evidence-Based Policymaking:EBPM)に本格的に着手してから8年余りが経過した。さまざまな取組が進む一方で、ロジックモデルづくりや指標設定・測定が「目的化」「作業化」してしまい、形式的な取組が増えただけで政策改善につながっていないといった指摘もなされている。そこで本稿では、EBPMに関する先進的な取組が進むとされる米国と比較することで、日本のEBPMが機能しにくくなっている要素を明らかにする。その際、Global Commission on Evidenceが提示するEvidence-Support Systemの枠組みを用いることで、日本の特徴を炙り出す。そのうえで、日本のEBPMの課題は、エビデンス需要の喚起が弱いこと、エビデンスの需給調整メカニズムが弱いこと、内部における専門人材が不足していることを指摘する。
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