2020年代に計画されている国際的な木星探査計画の中で,日本は木星磁気圏のプラズマを高緯度から俯瞰的に可視光,赤外線,電波,X線,高エネルギー中性粒子などで多波長観測することで,粒子加速の全貌,木星と衛星との磁場やプラズマを介した相互作用,木星の高速回転で駆動される現象を探ることを狙う.従来の木星探査に欠けていた波長として,搭載を検討しているのがX線リモートセンシング装置である.本稿では,地球周回のX線天文衛星による木星系からのX線についての急速な理解と課題を紹介し,将来木星探査に向けた装置の概念設計と特徴,必要とされる装置技術と開発の予定について報告する.
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