耳鼻科臨床や補聴器のフィッティングの現場で日常的に使用可能な,聴覚フィルタ測定システムを開発した。本システムは,(1)個々の難聴者の聴覚フィルタのバンド幅と健聴者のバンド幅の比が,周波数選択性の劣化度合いを表す指標であるものと仮定し,これを色の濃淡でマップ表示する,(2)聴覚フィルタ形状の推定を行うために必要な閾値はすべて自動で測定される,(3)測定器を開発したことによりシステム全体が小型化されている,といった特徴を持つ。実験の結果,本システムは,耳鼻科臨床や補聴器のフィッティングの現場において,日常的に難聴者の周波数選択性の劣化度合いを推定できる可能性が示された。
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