人は生まれてから亡くなるまでの生活習慣やさまざまなストレスが健康に影響してくる.しかしながら,実際にはストレスを減らすということは難しい場合が多い.一方,近年,笑いなどポジティブな感情や行動が心理的ストレスや否定的感情を緩衝することが報告されるようになった.笑いは感情ではなく行動であるため,修正可能な因子と考えられる.これまで,我々は地域住民男女4,780人を対象として笑いの頻度を男女別,年齢別にみた結果,笑いの頻度は男性より女性の方が多く,年齢とともに減っていった.また,笑いの頻度が少ない人ほど認知機能の低下傾向がみられ,糖尿病を発症するリスクが高かった.また,落語による笑いとストレスマーカーである唾液中コルチゾールとの関連をみた結果,ふだんから笑いが多い人ほど笑ったあとのコルチゾール値が低下していた.したがって,笑いはストレス関連疾患及び生活習慣病などさまざまな疾患の予防・管理に有用である可能性がある.
抄録全体を表示