筆者は過去 30 年以上、新聞社などで国際報道や国際情勢の分析に関わってきた。東⻄冷戦の終結から最近の新型コロナ感染拡⼤、ロシアのウクライナ侵攻まで様々な動きを⾒てきたが、流れの中で芸術に関係するニュースに注⽬した場⾯も少なくない。そうした事例は、芸術の役割や機能、社会との関係について、幾多の問いを投げかけてきた。⾃⾝の体験をベースに、国際ニュースの視点からみた芸術と社会・世界の関わりについて考えてみたい。
なお、芸術の定義や範囲は必ずしも明白でないが、マスメディアにおける言葉使いはかなり曖昧かつ雑駁だ。芸術と文化、アートなどの言葉が混同して使われることも多い。本稿の記述にはメディアからの引用も含まれるが、 一読の際にはそうしたメディアの実情も留意していただきたい。
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