19世紀末パリに生きた象徴派詩人ステファヌ・マラルメの未完の遺作『エロディアードの婚礼神秘劇』(1957年に死後出版)を採りあげ、その上演可能性を考えてみたい。22歳のときに制作が始まる「エロディアード」は、「もはや悲劇ではなく、詩篇とする」という若き詩人自身の言明ゆえに、その作品が根底に持っている演劇との繋がりをしばしば見失わせてきたように思われる。書簡などから再構成した30年以上に及ぶその制作過程、詩人自身の演劇論、そしてテクストそれ自体の解釈によって多角的に、この作品が晩年のマラルメが夢想した<祝祭>の譜面であること、そしてその演劇性を考察することで、来るべきその舞台上演の姿を明らかにする。
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