戦後日本において全国的規模で開催された新作家具展示会である全国優良家具展(1955-81年)から東京国際家具見本市(1979-2010年)への転換は、1970年代中盤から80年代初頭にかけて、国内家具産業の主体が箱物家具メーカーから脚物家具・総合家具メーカーへと変化したこと、プレハブ住宅の興隆による国内家具市場の活況とトータルインテリアコーディネートの必要性への対応、国内取引から国際取引への大きな潮流、ホームユース・コントラクトユースの双方の家具市場を包含した展示会の必要性があったことを示している。これに先駆けて1960・70年代に天童木工やコスガが開催した個展・合同展示会は、その後の東京国際家具見本市の開催へと繋がり、1980年代以降、天童木工は東京国際家具見本市への出展と個展開催のいずれか一方を、コスガは時期をずらして双方とも、毎年実施した。更に最近の東京国際家具見本市の動向には、インテリア関連産業との協調、家具輸出・クラフト的木製家具への回帰、コントラクトユース家具メーカーとの別離という現象が見られる。
抄録全体を表示