数年前であったであろうか.どこかの市町村の依頼で生活習慣病と脳の病気の講演をしたことがある.対象となった方々は,概ね50代以降の方々で,ごく一部に20代・30代の方がいた.その方々に,現在のメタボリック症候群に関しては,40代・50代を対象にした研究から導かれたものであり,60代以降の方々には簡単に外挿できるものではないことを伝えた.さらに70代では,BMIが男性25台,女性24くらいの方が死亡率は低いことも伝えた.そして,加齢により徐々に運動能力が低下するため,筋力低下の状況を把握しようと,椅子を利用して座って立つ動作を10回繰り返して何秒かかるかを測定することも行った.このとき20代の平均が約10秒であることを,施行後に伝えたが,膝が悪そうな方々には,膝に負担がかかるので遠慮していただいて行ってみると,意外にも70代と思われる方々もほぼ15秒程度でこなしていた.このとき思ったのは,このような講演会に来るレベルの人は,それなりの運動能力があるから訪れることができるので,実際にもっと運動能力の低下している人は,このような講演会には来ないと思った.
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