本研究は, 近年重要性が高まっている地震断層について, 土木構造物における工学的な対応の方向性を考察する. 対象とする土木構造物は橋梁, 堤防・道路盛土・平坦道路および埋設管とし, 既往地震履歴による地震断層の発生特性および構造物の被害特性に基づいて, 地震断層の発生形態と土木構造物の構造形態毎の被害形態を体系的に整理した. また, 地震断層と構造物の相互関係の簡易モデルに基づいた数値計算により, 土木構造物に対する地震断層の影響を明らかにした. さらに, 地震断層に対する既存技術の適用性に基づいて,「吸収する」,「追従する」および「避ける」の3つの基本姿勢を提示し, 土木構造物の計画, 設計, 地震直後および復旧の各事業段階に着目して, 地震断層の工学的な対策を体系的に考察した.
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