資源有効利用促進法のもとで, 2001年4月より開始されている事業系パーソナルコンピュータ (パソコン) の回収・リサイクルにつづき, 家庭系パソコンの回収・リサイクルのあり方が産業構造審議会等で2002年5月に取りまとめられ, 2003年10月より実施が予定されている。家庭系パソコンは, 自治体の処理が必ずしも困難ではなく, 現在の排出量も多くないが, 排出量が今後増大すると予想されること, また, メーカーによる回収・リサイクル費用と自治体の収集・処理費用 (リサイクルなし, または僅か) との比較や資源の有効利用と埋立地の節約という社会的便益を考慮し, メーカーが回収・リサイクルを行うこととなった。回収は, 販売店が配達する製品ではなく, 消費者が持ち帰る製品であり, 新製品購入時点と使用済み製品排出時点が異なる等, 家電との違いを考慮し, 引取場所の設置に加え, 宅配業者を活用する。費用負担は, 制度実施前に販売された家庭系パソコンについては, 排出時に消費者に費用負担を求めることとし, 制度実施後に販売される家庭系パソコンについては販売価格にリサイクル費用を上乗せし, 指定回収場所に持ち込まれた場合にはメーカーが無償で引き取りリサイクルすることとなる。この制度を円滑に進めるためには, メーカーの自主的な回収努力と, それを支える販売店, 自治体および消費者の協力が不可欠である。
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