本研究は、ピアノ演奏の上達を目指して、効果的な運指指導のあり方を検討することを目的とした。参加児は特別支援学校に通う知的障害と自閉症のある児童1名であった。参加児に対するWISC-Ⅳと行動観察をもとに、右手の5本指で鍵盤を弾くことを標的行動に、教員の手本および2つの視覚的プロンプトを段階的に用いて指導を行うことにした。評価として、指導の事前事後で同じテスト課題を実施した。運指指導を行った結果、A児の運指は事後テストで上達した。本研究を通して、WISC-Ⅳと行動観察をもとに標的行動と指導方法を設定することで、運指スキルを改善する効果的な指導を行いうることが明らかとなった。今後の課題として、対象とする事例を増やし、異なる認知プロフィールにある者への指導について検討することや、より信頼性の高い研究デザインを用いることが必要と考えられた。
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