近年、ゼロレーティングと呼ばれる新サービスがモバイルブロードバンドの分野に登場した。これは、事前に指定した特定コンテンツに関する通信量は月間データ消費とはカウントしないというものである。ゼロレーティングを活用することで事業者が市場支配力を強化し、ネット中立性を損なう可能性が増すことが懸念される。そのため、総務省の中間報告書においても将来のルール形成における主要テーマのひとつとして位置づけられている。
ただし、ネット中立性の観点からのルールが必要だとして、どの程度の強度のものが求められるのかについては、ゼロレーティングが消費者行動や市場構造にどの程度のインパクトを与えるのかを明らかにする必要がある。2018 年初頭に行ったアンケート調査に基づく分析からは、ゼロレーティングは消費者に強い訴求力は持つものの、支払意思額は低水準であり、仮にMVNO のみが採用したとしても現状の寡占構造を揺るがすには至らないことが示唆された。
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