目的 政府管掌健康保険(以下「政管健保」とする)の被保険者本人を単位とし,生活習慣病予防健康診査結果と診療報酬明細書(レセプト)データを接合したデータセットを用いて健診結果が10年後の医療費に与える影響について検討した。
方法 三重県の政管健保被保険者本人のうち,平成 5, 10, 15年度のすべての健診を受け,平成15年度に医療費が発生しているものから性,年齢による層化無作為抽出を行い,さらにデータ使用可能であった2,165人を対象とし,平成 5 年度の健診結果と平成15年度の医療費発生状況との関係を分析した。医療費は対数に変換し,リスクとの関係の検討においては性,年齢で補正した共分散分析を実施した。
結果 健診結果ならびに医療費は性・年齢階層と関係があるが,これらの要因を調整した健診結果と医療費との間の関係では,いずれの検査項目でもリスクあり群はリスクなし群に比べ有意に医療費が高く,リスク数と医療費との関係をみると,リスク数 0 群の5,234点に対し,リスク数 4 群が21,889点と約 4 倍高く,統計学的にも有意であった。
結論 健診結果と医療費の関係を分析することで,保健指導の対象者や重点対象者の選定に利用可能であることが示された。
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