画質を向上させた多くのデジタル・ハードコピー出力系がいわゆるフォトフィニッシング市場に進出しようとしている.この市場は,人々が自らの視覚的体験を写真プリントの形態で保有しておきたいという素朴な欲求に基づく.
本論文は最初にこの市場を成立させている三つの要因,光の作用に対する人間の特別な思い入れ,写真は光の直接作用の結果だという直観的な認知,および写真の極端に個人的な価値を論ずる.
次ぎに,上の二番目の要因に関わる写真プリントがもっている独特のオーラについて考察し,滑らかなハイライト特性と水面を想起させる表面構造がもっとも重要なオーラの源泉であることを述べる.最後に,フォトフィニッシング用のデジタルプリントはこの二つの要因を満足させねばならないことを,経験的に見出されたオーラを死滅させる要因と関連付けて説明する.
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