当院では誤嚥性肺炎を未然に防ぐために、嚥下障害患者のみではなく、誤嚥が起こりそうな意識障害回復期や、認知障害があり安全に食べられるか不明な患者、術後や感染症等で体力低下のある患者も対象にして、嚥下チームが関わることにした。嚥下障害患者の段階的摂食法を決めるアルゴリズムを作成し、嚥下障害クリニカルパスを使用し、嚥下回診を行っている。チームの流れは、まず患者を神経内科医に院内紹介し、神経内科学的嚥下障害要因のスクリーニングを行う所から始まり、次に全例歯科で口腔チェックを受け、必要時耳鼻科で咽頭ファイバー検査を行い、嚥下リハビリをリハビリテーション科で行う。嚥下障害のある患者に神経疾患が見つかることも多く、また近年誤嚥性肺炎の予防効果のある薬剤の報告もあり、嚥下チームの中で神経内科医が病態ごとに適切な薬剤の使用を主治医に促し、病院全体での叡智を生かせるようにすることが望ましいと考える。
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