52歳女性で胃角部に発生した胃リンパ管腫の一例を報告した.更に自験例を含めた,本邦例27例について文献的に検討を加え,特に胃嚢腫としての本症の術前診断が,可能なりや否や考察を加えた. 本邦例の平均年齢は51歳,50歳以上が59.3%を占め,男女比は17:10で男性に多い.主訴では上腹部不定愁訴が10例(37%)で最も多く,無自覚症状例も4例あった.術前診断では,粘膜下腫瘍11例(55%),胃嚢腫4例(18.2%)であった.文献上のX線および内視鏡所見から,術前診断には,(1)X線的に粘膜下腫瘤の形の変化を補える.(2)内視鏡的に,これを確認し,更に波動性を証明する,などに要約されるが,実際上はかなり難しいと考えられる.
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