本誌170号で, 1996年秋の愛知県知多半島に関係する,アサギマダラParantica sita niphonicaの成虫のマーキング調査と多くの成果について報告した。1997年の秋にも同様の調査をおこなった。この結果,新たに,長短様々な距離と注目すべき方向の移動が数多く記録された。特に,中距離の移動と半島内の短距離移動は特異なものである。また,同一場所でマークされた複数の個体が,移動後,同じ場所で再捕獲または再確認された。秋の移動実態を知るための重要なデータが得られた。さらに,再捕獲個体の再放蝶を試みたので報告する。1997年秋も,前年同様,知多半島内各地で調査されたが,特に知多郡美浜町野間冨具崎(ふぐさき)の冨具神社(標高5〜40m)と知多郡南知多町内海(うつみ)高峯と同町山海(やまみ)高峯にまたがる内海フォレストパーク(標高70〜128m)で,連続して多くの調査者が参加して,多数の個体がマークされた。上記の成果の多くは,この二ヵ所に関係しているので,以下前者を冨具神社,後者を内海フォレストパークと略す。
抄録全体を表示