活動火山対策特別措置法における火山防災協議会の前身となったのは,昭和42年に熊本県の阿蘇山周辺に設置された阿蘇火山防災会議協議会である。同協議会は,防災計画の中で測候所の情報に対応した立入規制の判断基準を定め,現在の火山防災協議会を中心とする火山災害対策の原型となった。本研究は,阿蘇山周辺において地方公共団体を中心とした協議会の枠組みの形成過程に着目し,火山情報に対応した立入規制基準を予め定める火山災害対策がどのように形作られたのかを明らかにすることを目的とする。その結果,度重なる火山災害の発生を受けて対応を検討する中で,山上に関わる関係機関が協議会という場で相互に対立・衝突し,対策の強化に至ったことが分かった。
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