保険契約に関する国際会計基準(IFRS)の第二次の検討(フェーズII)は,保険の保障部分と金融部分に別の原則を適用する方向に進んでいる。このようになった原因は,保険フェーズ基準の検討に当って,サービスの提供から生じる収益と金融商品とに対する既存IFRS との整合性をともに重視した結果である。
この際に問題となったのが,保険給付金額が金融市場の影響を受けるために,両者の区分が特に難しい有配当保険である。各国の配当制度の違いなどから困難な検討が続いたが,直近の状況では,保険給付の金融要素との連動度合いに応じて有配当保険を2つに区分して対応する案が提示され,議論が進んだ感がある。
フェーズII基準の公開は2016年以降の予定だが,これまで約18年間の保険IFRSの議論を振り返ってみると,議論は保険学に対しても,「保険に関する概念の明確化と一般化」などいくつかの課題を提示していると考えられる。
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