ヒドロキシプロピルセルロースを含むエタノール溶液中でのスチレンとγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの分散共重合で合成した直径6.7μmのポリマー微粒子アレイのレンズ機能を調べた. メタノールで湿らした粉末試料を硝子板上に置き, これにカバー硝子を乗せて人差し指で押さえつけ, 一層あるいは二層からなるポリマー微粒子アレイを作成した. 顕微鏡観察から, 一層に並んだポリマー微粒子は凸レンズ機能を有することが確認された. 一視野のポリマー微粒子アレイの中の粒子による倒立像は, 背後から見て, それぞれの粒子の中の同じ位置に結ばれた. このことは粒子アレイ面から物体までの距離がポリマー微粒子の直径の10
4倍以上であったことから説明できた. カバー硝子を指先で回転させて二層のポリマー微粒子アレイ間にずれを与えると, 各層の粒子アレイに基づくモアレ縞がカバー硝子の回転角度に応じて大きさを変えた亀甲模様として発現した. それにF文字を照射すると, 前層の無数のポリマー微粒子レンズによるF文字の倒立像に起因して後層の一部のポリマー微粒子が輝き, その輝いた粒子は全体で一個の約90゜横転したF文字の像を構成した. この興味ある現象が凸レンズとモアレ縞の原理から考察された.
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