東日本大震災から4年を過ぎ,復旧・復興も進んできたと言われている。一方で,津波被害の大きかった地域では,市町村内産業指標の落ち込みが続いているなど,まだまだ不透明感が漂っている。そうした現状の中,復旧・復興を越えて,新たな産業を創出するには,長い期間と長期にわたる資金の提供が必要となる。
信用組合は,それぞれの地域の人たちによって組織・運営されている相互扶助の精神を生かした地域密着型の金融機関(地域金融機関)である。
復旧・復興のために多くの資金が拠出されているものの,被災者の日々の生活等のために支出が多く,産業を下支えするとともに,新たな産業創出に結びついているとは必ずしもいえない。実際に,被災地域の信用組合からは「預金は非常に増えているけれども投資する先がない」という声も聞かれる。
本稿では,当該地域の地方銀行と信用組合との比較を行うとともに,東日本大震災直後の東北地域信用組合と復興期における東北地域信用組合について検討を行い,被災地信用組合のマネジメントの実態を明らかにしていく。
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