架橋ポリエチレンはケーブル被覆材料として大量に使用されている. しかし, 加熱しても流動性が低くマテリアルリサイクルが進んでいない. これに対し, 筆者らは亜臨界~超臨界水と超臨界メタノールによる架橋ポリエチレンの熱可塑化を試みた. 試料としてシラン架橋ポリエチレンを用いた. この結果, 300~380℃の亜臨界~超臨界水および340℃以上の超臨界メタノールによって, 分子量の低いワックス状物質を得た. 一方, 300~340℃の超臨界メタノールを用いた場合, 架橋の指標であるゲル分率が0%で, 分子量が低下していないポリエチレンを得た. これをフーリエ変換型赤外分光光度計 (FT-IR) とNMRで調べた結果, 架橋点であるシロキサン結合が切断されていた. すなわち, 300~340℃の超臨界メタノールを用いると, シラン架橋ポリエチレンの架橋点のみを選択的に分解して熱可塑化できることがわかった. この技術は, 架橋ポリエチレンのマテリアルリサイクルに利用できる可能性がある.
抄録全体を表示