小児急性リンパ性白血病治療における中枢神経合併症の頻度およびその予後を明らかにするために, 本院で入院加療した小児急性リンパ性白血病児を対象として後方視的に臨床的検討を行った. 対象となった100例中, 中枢神経合併症をきたしたのは13例であった. その直接的原因としては, 化学療法によるもの8例, 放射線治療によるもの2例, vitamin B
1欠乏1例, 不明2例であった. 関連性の最も高い薬剤はmethotrexate 5例, L-asparaginase 2例, cytosin arabinoside 1例であった. また, 神経学的合併症の内訳は, 白質脳症8例, 脳血管障害4例, Wemicke脳症1例であった. 神経学的後遺症は, 2年以上の観察期間内において3例が境界域も含めた精神運動発達遅滞, 1例が片麻痺となり, また, 1例が難治性症候性てんかんと診断された. 重篤な神経学的合併症は減少傾向にあるものの, 依然認められ, 白血病治療にあたっては中枢神経合併症への充分な配慮が必要であると考えられた.
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