CaNa
2EDTAの静脈注射により作出した腎機能障害牛および腎障害自然発症牛の尿中から低分子蛋白を分離精製した。即ち、これらのウシの濃縮した蛋白陽性尿から塩析法によりグロブリン分画を分離し, これをSephadex G-100カラムを用いたゲル濾過法で5つに分画した. これらのうち, 最小分子量を示した分画をさらにDEAE-celluloseを用いたイオン交換カラムクロマトグラフィーにより2つに分画した. このうちの1分画は, SDS-PAGEにより単一のピークを示し, かつ分子量が12,000と推定され, ヒトβ
2-microglobulin(MW11,800)と類似した分子量であった. 一方, この分画は, セルロースアセテート膜電気泳動法により正常ウシ血清のγ-グロブリン位に移動し, さらに, ゲル内沈降反応において, それに対する抗血清との間に1本の沈降線を形成したが, 抗ヒトβ
2-microglobulinとの間には沈降線が形成されなかった. また, この抗血清と実験的腎障害牛および腎障害自然発症牛の各濃縮尿との間には, 沈降線が形成されたが, 正常牛の濃縮尿およびヒトβ
2-microglobulinとは沈降線を形成しなかった.
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