昨今の中古戸建住宅取引は複雑・高度化し、買主にとって安全、安心な取引のための情報は多岐にわたる。その中でも事業者と消費者間の情報の非対称性が取引の阻害要因としてあげられている。また、不動産は高額で個別的なものであり、取引はゼロリスクではないにも関わらず、セーフティネットは1業者1千万円までの弁済制度だけであり脆弱である。
本研究は、ヒューマンサービスである不動産取引における各種リスク情報が購入者となる生活者にとって、より的確に把握、管理されるためのリスクマネジメントの方策を明らかにすることを目的とする。
なお、研究方法は、生活者と不動産取引に関する既存文献による二次データ並びに不動産取引の主要ステークホルダーに対するインタビューデータによる一次データについて収集とM-GTAによる分析を行い、これらを統合して考察を試みたものである。
考察結果として、中古戸建住宅買主の安全な不動産取引を実現するためには、情報の非対称性を是正するとともに、適切なリスクマネジメントを講じて意思決定の質の向上を図るべきである。
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