要旨 : 2018年1月から2022年12月までに当科を初診した機能性難聴児241名に対し, 小児機能性難聴の推移, 諸特徴について, 新型コロナウイルス感染症流行前後で比較し, 後方視的に検索, 比較した。また, 環境変化の大きかった流行初期 (2020年) の心理的問題についても検討し, 流行下による影響を調査した。小児機能性難聴の診断件数は, 例年と大きな違いを認めなかったが, 男児の占める割合が高くなっていた。また, 随伴症状を有する例, 難聴の自覚がある例, 本人の訴えによる受診の割合が高くなっていた。心理的問題が疑われた症例のうち, 女児は学校生活に, 男児は家庭生活に起因する例が多くみられ, 流行下に関連する因子も含まれていた。登校や遊びの規制, 自宅滞在時間が増えたことによる家族間のストレスなどについて察することができる結果となった。
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