本研究では,アール・ブリュット作品の鑑賞者の特徴を把握するとともに,鑑賞の視点や抱いた感情の明確化を目的として,帯広市内において2016(平成28)年,2017(平成29)年に開催された「LIFE 展/ 北海道アール・ブリュット帯広展」(以下,LIFE 展2,LIFE展3)でアンケート調査を行った。調査結果から,鑑賞者数はLIFE 展2では111名だったがLIFE 展3では322名と増加し,両作品展ともに女性が多く,50~60代の年齢層の割合が約4割,複数名で来場している者の割合が半数以上を占めていた。また,鑑賞した感想の自由記述を分析した結果,LIFE 展2に関しては第一カテゴリー数10,LIFE 展3に関しては第一カテゴリー数15が抽出された。さらに,カテゴリーの内容の比較から,作品に関する所感,鑑賞を通しての感情の変化,作品展に対する評価と今後の希望,職員・スタッフの取り組みに関する支持,作品・グッズ購入の要望の5つに分類することができ,2つの作品展における鑑賞者の共通する着眼点が明らかとなった。
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