造血器疾患を基礎とする重症感染症に対して, 静注用アルキル化処理人免疫グロブリン製剤COG-78の抗生剤との併用効果を検討した. 方法は静注用ポリエチレングリコ-ル処理乾燥人免疫グロブリン製剤 (PEG-γG) を対照とするCrossover法による比較試験により, その有効性および安全性を評価し, 以下の結果を得た. なお, 投与量は両剤とも100mg/kg/day1回投与とした.
1) 総投与例数は69例で, 脱落及び判定保留と認定された症例を除く54例中, COG-78は44例, PEG-γG39例が効果判定対象とされた.
2) 総合効果の判定ではCOG-78で44例中20例 (45.5%) に, PEG-γGでは39例中14例 (35.9%) に「有効」以上の効果がみられた. 両者に有意差は認められなかった.
3) 比較された29例中13例に, 両剤間の効果の差が認められた. その内訳はCOG-78が優れたもの7例に対しPEG-γGが優れたもの6例と両者ほぼ同等の成績であった.
4) 副作用は69例中1例に軽度の皮疹が認められたのみで, この例では両被検薬剤でともに出現をみた.
以上のことよりCOG-78は, PEG-γGと比較して同等の臨床効果を有し, また副作用発現にも差は認められず, 重症感染症に対して抗生剤との併用において有用な製剤の1つと考えられた.
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