目的
重症心身障害児(者)の筋緊張亢進に対して、実践されている看護ケアを明らかにすることを目的とした。
対象
A病院の勤務年数が5年目以上の看護師3名
方法
筋緊張亢進のある患者の観察項目や対応方法等の半構成面接を実施し、ICレコーダーに録音して逐語録を作成した。意味を損なわないようにコード化し、意味内容毎にカテゴリー・サブカテゴリー化した。分析は質的研究経験者と検討を重ね、メンバーチェッキングし、信頼性と妥当性の確保に努めた。A病院倫理審査委員会の承諾を得て実施した。
結果・考察
5つの【カテゴリー】が生成された。【筋緊張亢進時の状況を全人的に把握する】は、様々な所見の観察や、筋緊張亢進時と普段の様子を比較する内容のサブカテゴリーから構成された。【筋緊張緩和をはかるための具体的な方法】は、不快の除去方法や与薬等のサブカテゴリーから構成された。【筋緊張亢進した時のための備え】は、対応方法の共有やスタッフ間の連携という内容等のサブカテゴリーから構成された。【二次的障害の予防】は、呼吸状態の悪化や打撲を防止する方法等のサブカテゴリーから構成された。【筋緊張亢進を未然に防ぐ具体的な方法】は、事前に不快を除去する方法や快刺激を与える方法等のサブカテゴリーから構成された。看護師は重症心身障害児(者)の外面だけでなく内面も観察し【筋緊張亢進時の状況を全人的に把握】することで、筋緊張亢進の誘因探索に努めていた。把握した情報をアセスメントし、個々に応じた【筋緊張を未然に防ぐ具体的な方法】や【筋緊張緩和をはかるための具体的な方法】を模索しながら、【二次的障害の予防】をしていると考える。筋緊張亢進後の対応を予測し、収集した情報や経験を通して、【筋緊張亢進した時のための備え】を行っていると考える。これらは、筋緊張亢進時の特徴的な看護ではなく、普段行う様々な看護ケアを駆使しているものであった。
抄録全体を表示