障害者職業訓練校で身体障害を持った訓練生が、精神的に悩んだり、進路を迷ったりすることは少なからずある。この事例の場合、入所してまもないのに急に退所したいとの申し出があり、その危機的状況に速やかに介入して相談を行ったため、再び意欲を持って取り組むことができるようになった。その危機介入時のアプローチでは、主に解決志向アプローチ、スケーリング技法を意識していたが、著者の知っている療法の視点を折衷的に利用した相談を行い、クライエントの意欲を取り戻すことができた。そして、職員及び医療機関が本人に対してフォローしていくことにより、精神の安定および、対人関係の改善が得られ、訓練修了後の就職にまで結びつくことができた。この事例の職業相談におけるカウンセリング技法及びアプローチを紹介することにより、同じように精神的問題を抱える障害者の職業相談の参考になればと考える。
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