本研究では,2000年4月から2016年3月までの期間に買収を実施した企業群(処置群)と,同期間に買収を実施していない企業群(コントロール群)を対比させ,買収企業が享受することが期待される収益性の改善効果を明らかにする.特に,日本企業が戦略的に買収を活用する施策として完全子会社化買収や非上場企業対象買収に着目すると共に,買収実施前に低内部留保率が示された経営悪化企業による買収が有効であるか,買収の収益性改善効果へ
企業結合会計
導入が影響を与えているかに関しても分析を実施する.その結果,全サンプル,完全子会社化買収,非上場企業対象買収,経営悪化企業による買収に共通して,流動資産回転率で買収の収益性改善効果が表れたが,一方で,総資本経常利益率・総資本当期純利益率・財務レバレッジでは有意な悪化が表れた.しかし,経営悪化企業による買収では,資本効率・株主投資効率・営業効率・資産効率において収益性改善効果が表れた.なお,買収の収益性改善効果に対する
企業結合会計
導入の影響は表れなかった.
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