本研究は、補聴器装用が一貫して片耳補聴にある中等度及び高度感音難聴児を対象に、4音節有意味単語を同時両耳聴法で聴取させ、両耳聴課題にみる側性化値と補聴耳の関係に検討を加えたものである。結果は、次のように要約される。(1)聴能及び音声言語能力をかなりなまでに高めている感音難聴児は、補聴耳が左右のいずれであっても、著しい右耳優位(Right Ear Advantage)を示す。(2)左右耳の語音聴取域値及び語音明瞭度の差が僅少な感音難聴児にあっては、長期に亘って左耳補聴を行っているにもかかわらず、著しい右耳優位を示し、言語音の処理機能における左半球優位性の確立を示唆する。(3)高位中枢部位に障害のみられる「言語発達遅滞児」にあっては、聴覚的感度が正常であっても、両耳分離の達成度が低く、典型的なleft-earedのタイプを示す。
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