「世界」「日本」「神」の起源にまつわる中世のテキスト群は、後に神道書、神書、あるいは「日本紀」とも呼ばれた。これらは平安末から鎌倉時代にかけて作られたものだったが、その多くが作者を上代の古人に仮託しており、記紀と同等の価値を持つ「古典」と見なされたのであった。鎌倉後期以降になると、そこに盛り込まれた諸説を類聚し、整理しようとする動きが現れる。神道に限らず、蓄積された情報を整序・体系化しようとする指向は、宗教・文芸等に亙って院政期以降、各分野で見られるようになる現象だが、遅れて現れた神道説の場合、この頃から顕著になるのである。本稿では、『類聚神祇本源』『元々集』『山家要略記』『神代巻秘訣』等、中世神道の類聚的著作を採り上げ、その類聚・分類の意識について考える。
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