硬化中の球状合金アマルガムの表面における金属学的諸相の発育消長の過程を, 走査型電子顕微鏡を用いて観察し, その時間的変化をビデオテープレコーダーに連続的に記録してモニターテレビに再生し, それを
低速度撮影
法によって短時間に圧縮した映画をつくった。この映画によって次の知見を得た。
1.填塞直後のアマルガム面は未反応水銀で濡れて比較的滑らかな外観を呈していたが, やがて合金粒子γの表面には粒状のγ
1結晶が付着発育し, 面全体の凹凸が著しくなるとともに, 未硬化マトリックス中に気泡が現われて次第に大きくなった。
2.γ
1相ははじめは微小な斑点にすぎないが, やがてコブ状に発育して互いに融合した。この発育は約2, 時間後にほぼ終了した。γ
2相はγ
1相よりやや遅れて現われて細長く伸び, その発育変化は120分たっても終らなかった。
3.残留合金粒子の露出表面は, はじめは液状光沢を呈して滑らかな外観をしていたが, やがて光沢を失って乾いた外観を呈し, 次いでその表面に微細な点状の黒い凹みを生じはじめ, 約2時間後にはこれらが一層深く大きく明瞭になり, 海綿状外観を呈するようになった。
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