北海道と東北における精神障害者フットサルの地域選抜チームづくりについて、2012~2013年の経験を報告する。広範な地域を対象とした本事例における手法は、競技力の高いチームをつくる目的には向かない。「選抜チームで全国の舞台へ」という実現可能な目標を設定し、地理的、経済的に厳しい条件に置かれた各地のプレイヤーに対しても、あまねく平等にチャンスが行き渡るよう工夫した。チームづくりにまつわる一連の活動の結果、選手には、自発性・継続性・交流の広がり・自信が、スタッフには地域を越えた連帯感が得られた。そして各地域においては、多くの協力者と活動に対する認知度の向上がもたらされた。本稿で述べる4つの地域選抜チームは、東北以北における活動の普及に大きな役割を果たしており、その功績は大会の成績をはるかに凌ぐものであった。
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