戦後日本における主要木製家具メーカーであるコスガと天童木工は、実物利用型・画像イメージ利用型の販売促進活動においては類似していた。即ち、両社ともショールーム、カタログ、生地見本等を活用した。しかし人的コミュニケーション利用型の販売促進活動においては、両社独特の活動を展開した。コスガは「コスガインテリアスクール」を運営して自社製品に好意を抱く女性インテリアデコレーター・インテリアコーディネーターを養成したり、全国の有力家具小売専門店を巻き込み、単なる販売特約店の枠組みを越えた「KF会」を組織して自社製品の取扱高を増加させようとしたりした。これに対して天童木工は、建築家やインテリアデザイナーとの繋がりを最大限活用して自社製品の銘柄指定戦略を推進した。そしてこの相違は、両社のメインターゲットの違いに起因していた。即ち、コスガがホームユース家具市場を主要な市場としたのに対して、天童木工はコントラクトユース家具市場を主要な市場としたからである。
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