今般の募集規制改革では,保険販売チャネルの多様化とともに保険取引の情報の非対称性の問題が意識されている。本稿は,保険募集で扱われる情報の内容および情報収集コストの観点に立って,保険販売チャネルの現状と課題の分析を行う。具体的には,情報コストの負担抑制を目的とした直営方式の代理店チャネルの増加は,かえって保険募集の効率性を阻害する可能性を考察する。結論として,保険販売チャネルの垂直的統合を促すインセンティブを付与し,損害保険会社間の競争を活発化させること,販売手数料をめぐる代理店側の価格交渉力を強化すること,販売チャネルの製販分離の実現を目指すことが,複数チャネルの情報問題の解消に有効であることを指摘する。
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