共役ジエン,主にブタジエンに対する酢酸パラジウム(II),パラジウム(II)アセチルアセトナート,ジ-
t-ブトキシパラジウム(II)などのパラジウム(II)化合物の触媒作用を検討した。共役ジエンとしてブタジエンを用いた場合の生成物は1,3,7-オクタトリエンまたは,カルボン酸を多量に共存させた場合はそのカルボン酸付加物が主であるが,溶媒や反応条件を変えることによって,1,4,7-オクタトリエン,2,4,6-オクタトリエンも合成することができる。この反応は溶媒や塩基性塩の添加によって影響され,電子供与性媒体中で反応はよりすみやかに進行する。
この反応の触媒作用機構について検討し,溶媒効果が大きいこと,プロトン源が必須であることなどから,反応は低原子価パラジウム原子へのジエンの配位とプロトンによる二量化が主な過程であること,また生成したオクタトリエンの異性化は二量化の場合に比して高原子価のパラジウムの存在により起こっていると推定した。
抄録全体を表示