本論文は、地域の金融機関との協働によって金融経済教育を開発・実践し、教育効果と地域貢献の可能性について明らかにした。金融経済教育の教材として「人生設計ゲーム」を作成し、地域の金融機関とともに授業案を開発し授業実践を行い、情報活動と「人間発達度」、「現実把握度」との関係を明らかにした。対象は、小・中学生、高校生、大学生の合計1,269人である。情報活動によって4つのグループに類型化した。
この結果、年齢が低い小学生で「人間発達度」が進んだことから、小さい時から金融経済教育を積極的に実践することが重要であることが明らかとなった。また、高校生や大学生にとっては、より現実的に物事を考えることができるきっかけとなることが分かった。情報活動との関係では、情報活動が活発であると、「人間発達度」と「現実把握度」がより促されることが明らかとなった。ただし校種によってこの傾向は異なることから、子ども達の年齢に応じた内容を提供していかなければならない。今後、金融経済教育を積極的に進めていく必要があるが、学校教育機関だけで実践するには限界がある。金融経済教育などのように、学校教育では時間的制約等から扱うことが難しい内容や専門性が必要な内容の場合、地域の金融機関との協働で金融経済教育は実現可能となりうる。
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