<はじめに>長野松代総合病院(以下当院)では毎月入院約800件,外来約14,000件の保険請求を行なっており,査定による減収は病院経営に直接影響をあたえている。全ての診療行為を完全な収入に繋げるため査定内容を分析し,査定減少に向けての対策を検討したので報告する。
<対象>2004年4月から2005年3月の1年間に請求した社保レセプト81,165件,国保レセプト103,540件に対する査定増減(社保765件 社保全請求数の0.9%,国保1,643件 国保全請求数の1.6%)を検討対象とした。
<方法>1.対象を5つの査定事由に分類し,社保と国保での審査における傾向を分析した。2.
再審査請求を行なったレセプトの審査結果と診療科別の再審
査件数を検討した。3.長野県厚生連において当院と病床数が同規模又はそれ以上の病院との過去2年間の査定件数比率を比較した。
<結果>1.2004年度の社保レセプト件数81,165件中765件(0.9%)で国保においてはレセプト件数103,540件中1,643件(1.6%)だった。(1)適応と認められなかったもの(レセプトチェック漏れ)は社保145件(0.17%),国保328件(0.31%)だった。(2)過剰とされたものは社保186件(0.22%),国保684件(0.66%)であった。(3)重複とされたものは社保3件であった。(4)不適当または不必要とされたもの(診療に関するもの)は社保430件(0.53%),国保630件(0.6%)であった.(5)固定点数が誤っていたものは計2件(0.1%)であった。
2.査定された2,408件中102件(4.2%)に対して
再審
査請求を行なったが原審(審査結果のまま)67件,復活が35件という結果で
再審
査請求を行なうことによって減収を防ぐことができた。
3.当院の査定件数は2003年度よりも44件減少していたが査定金額では373,000円の増加であった。
<考察>保険請求したレセプトが査定される事により減収となり,直接,病院経営に影響している.今回,査定された内容を分析した結果,医事課職員によるチェック漏れでの査定が計473件,全体の約20%であった。知識を身につけて査定防止に努めていく事が医事課職員としての役割だと考える。又、レセプト審査は書面審査であり,病名とレセプト内容から判断して診療内容が適当かどうか審査されるため医学的な根拠を症状詳記として添付する事が重要であると考えた。社保においては不適当等の査定が最も多く,逆に国保では過剰と判断されたものが査定全体の4割で社保とでは大きな相違が認められた。当院での
再審
査請求は1割にも満たないのが現状で減点されたレセプトをあきらめて放っておくのではなく,点数の高い低いにかかわらず納得のいかない査定に対しては
再審
査請求する事が重要である。医師との連携を深め,不当な査定については
再審
査請求を行ない審査委員に病院の医療に対する姿勢を伝える事も重要である。過去2年間の査定件数を他の医療機関と比較したが大きな差はなかったが査定の重要性を再度認識し,査定減少に向けて努力していく事が重要だと考えられた。
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