コンサルテーション・リエゾンサービスは,医療のbio-psycho-socialモデルにおける多様な病態に取り組み,そのニーズは臨床,教育,研究の分野に広がっている。当院は約500床の総合病院で,精神科は病床をもたず,限られたスタッフで従来は個別にリエゾンの診療依頼に対応してきたが,昨年7月,診療報酬の加算されるリエゾンチームを立ち上げた。年間の依頼件数は約350例,まだ小規模でマンパワーの問題もあるが,毎朝のラウンドやカンファレンスを中心に,態勢を整えつつある。チームの定期的な病棟ラウンドは,治療の効率化や主科とのコミュニケーションの改善につながり,多職種メンバーによるディスカッションにて患者サポートの質が高まることが示唆された。救急診療では,自殺企図のコンサルテーションがほんどを占め,短い入院期間での治療関係をつくる難しさや,増える高齢者の自殺の問題などが浮き彫りとなった。本稿では,これらの取り組みをまとめ,リエゾン診療で浮かび上がった課題を検討,考察し報告する。
抄録全体を表示