雑種雄ヤギ3頭(平均体重:22±3kg)を用いて,適温環境下(温度20°C,相対湿度80%)および暑熱環境下(温度33°C,相対湿度80%)において,飼料摂取量を等しくした場合における,消化率,第一胃内VFA濃度,第一胃収縮の頻渡•振幅,総咀嚼回数および消化管通過速度を測定した.消化率は,暑熱環境で高い傾向にあり,粗タンパク質とNDF消化率で有意差が認められた(P<0.05).第一胃内VFA濃度は,暑熱環境下で高い傾向を示し,とくにn-酪酸濃度で有意差が認められた(P<0.05).摂取飼料の体内滞留時間は,暑熱環境下で延長される傾向にあった.第一胃収縮の振幅および頻度は,暑熱環境で低い傾向にあり,採食時で有意差が認められた(P<0.05).これらの結果から,ヤギを暑熱環境下へ暴露することで,第一胃内収縮運動が低下して摂取飼料の体内滞留時間が延長され,第一胃内における摂取飼料片の分解が活発に行われたという一連の生理反応に対する因果関係が示唆された.
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