栃木県日光市いろは坂において, 1997年4月から6月にかけて観光客とニホンザルとの接触場面における, 双方の行動と観光客に対するサルの反応を合計892件記録した.多くの観光客は, サルが人に対して直接的な働きかけを行わない場合, 写真を撮る, サルを見つめるなどの能動的あるいは積極的な行動をとったが, 餌を与えることは少なかった.しかし, 例数は少ないものの, サルが近づき物乞いするなどの物欲的行動をとると, 半数近くの観光客は餌を与え, サルもまた積極的に反応する行動連鎖を読み取ることができた.これらのことから, サルと人との双方に対する管理方法と啓蒙について提言する.
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